【物語】僕とあなたの、思い出の花。(2)

「僕とあなたの、思い出の花」の第2話。
中国人の僕と、日本人のあなたと紡ぐ日々。

この記事を書いたのは?

楓橋徹

出身地:中国

私は中国の海浜都市から来て、現在東京の高校に通っています。この世界は広いので、何方でも行ってみたいです。ソローが書くワルデン湖、シェイクスピアの詩のロンドン、そして松尾芭蕉の徘句のような美しい夏に日本に来ました。暇な時、空想することが好きで、時々、自分が平和な時代に生まれて嬉しくなります。その反面、これから起こりうる戦争が心配です。また、昔の戦争のせいで、その国に住む人同士の中に誤解が生まれてしまうことがあります。しかし、私は子供の時に、違う国の人と触れ合うことがありました。生まれた国は違っても、その人の優しさに感動しました。
現在多くの日本人の友達がいます。中国人として、日中の友好交流が一歩近づいて心から願っています。今回は小説の中で、歴史の残した問題を違う視点から認識することができるといいなと思っています。私たちは生まれた国に関係なく、お互いに歩み寄っていきたいです

M

出身地:非公開

紹介文:私は作者のお友達です。今回初めて校閲をさせて頂きました。難しかったのですが、素敵な物語だったので書いている最中はすごく面白かったです。

僕とあなたの、思い出の花。


夏休み、まだ手をつけていない宿題は机の上に置いたままだし、明日提出しないといけない塾の宿題もカバンの中に入ったままだ。
実は“山”はかなり低くなっていた。

だって、どこかのゴミ箱に捨ててしまったから。
「白鳩、ちょっと出ておいで!」突然ママが私を呼んだ。

急な呼び出しに少し緊張した。

もし、この繊細な中年女性の娘が塾の宿題を捨てたと知ったとしたら、想像するのも怖い。
もう夜の9時、この時間ならママはテレビを見ているはずだ。

様々な社会のニュースを見ながらスナックを食べる。

でも、今日はそうじゃない。

嬉しそうなのか、焦っているのか、怒っているのか、私には読み取れないほどである。
そこで私は身支度を整え、立ち上がり、リビングの方へ歩いていった。
書斎を抜けると、リビングの照明が放たれて、まるでお客さんが来たような雰囲気をが漂っているのがぼんやり見えた。
「おっと!ハハハようこそ!」
リビングからお母さんの大きな笑い声が聞こえきた。
リビングルームに入ると、ママが私を抱きしめて紹介してくれた。

ゆっくり顔を上げると、思わず目を奪われてしまった。
その可愛らしい目は、黒く輝いていて、白く清潔感のある愛らしい丸顔で、やや広めの額には眉毛ギリギリまでカットされた前髪が施されている。
女の子だ。
でも、今まで見てきた女の子とは少し違う。

どう違うのかは、なんとも言えないが。
クリーム色のノースリーブのワンピースを着て、母親がよく手入れをしてくれていたのか、髪はサラサラで柔らかく、ピンク色の耳の後ろで小さく2つで束ねられている。
「この子はさくらだ。今日から仲良くしなさい」とお父さんが言った。

それから「佐藤おじさんとおばさんに挨拶しなさい!」と頭を2回ほど叩かれた。
「この方たちは日本人だが、以前アメリカに住んでいたんだ。

これからはご近所さんなんだから、階段で会ったら挨拶するんだぞ。

それから、おじさんとおばさんは綺麗な英語を話すから勉強させてもらえ。」
もう一度、私は、お父さんに対して、不愉快だと感じた。
お客さんの前でお父さんに命令されるのが嫌いだ。

まるで私が犬のように反応しなきゃいけないから。
しかも、こういう時がいちばん困る。

初対面の人の前だから素直に聞くしかない。

私は頭をゆっくり下げ、挨拶の言葉を言おうとしたが、喉に詰まってなかなか出ずにいた。
「以前はアメリカに住んでいたの、これからよろしくね」中年夫婦が突然私の前にしゃがみこみ、愛想良く微笑んでくれた。
なんて不思議なんでしょう。
一瞬、呆気に取られた。

奇妙な中国語、そして感じたことの無い不思議な気持ち。

さっきまで命令されて嫌だった気持ちは一瞬にして消え去った。
「こんにちは、おじさん、おばさん。私は白鳩です。」
「これからよろしくお願いします、仲良くしてください!」
私が話すと、子供は話した。

柔らかく、滑らかな発音は、ゆっくりとこぼれるように、ほぼ一語一句違わなかった。

そう言いながら、彼女は手を差し出し、小さなバックを私に手渡した。
ピンクのネイルキャップには、小さな花の模様がたくさん付いていた。

それはマニキュアの一種のようなもので、思わず見とれてしまうぐらい、綺麗で可愛い。

私が荷物を取ろうと手を伸ばさないのを見ると、彼女は怪訝そうに私の両親を見た。
「お前、お客さんからこんにちはと言われたら、お前も返事をしなきゃだろ」

(続く)

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