この記事を書いたのは?
楓橋徹
出身地:中国私は中国の海浜都市から来て、現在東京の高校に通っています。この世界は広いので、何方でも行ってみたいです。ソローが書くワルデン湖、シェイクスピアの詩のロンドン、そして松尾芭蕉の徘句のような美しい夏に日本に来ました。暇な時、空想することが好きで、時々、自分が平和な時代に生まれて嬉しくなります。その反面、これから起こりうる戦争が心配です。また、昔の戦争のせいで、その国に住む人同士の中に誤解が生まれてしまうことがあります。しかし、私は子供の時に、違う国の人と触れ合うことがありました。生まれた国は違っても、その人の優しさに感動しました。
現在多くの日本人の友達がいます。中国人として、日中の友好交流が一歩近づいて心から願っています。今回は小説の中で、歴史の残した問題を違う視点から認識することができるといいなと思っています。私たちは生まれた国に関係なく、お互いに歩み寄っていきたいです
M
出身地:非公開紹介文:私は作者のお友達です。今回初めて校閲をさせて頂きました。難しかったのですが、素敵な物語だったので書いている最中はすごく面白かったです。
僕とあなたの、思い出の花。
夕方、佐藤家を見送る時、ベットに横になり目をつぶるとやはりあの子のことが頭に浮かぶ。
彼女の着ているドレス、ネイルの花、そしてゆっくりと外に向かって吐き出される中国語を思い浮かべた。
また、会えるかな。
まさか、こんなに突然再開するとは思っていなかった。
翌日、ゆっくりとベッドから起き上がり、ママに促されて歯を磨き、顔を洗った。眠くて目を開けられなかった。
パジャマ姿でテーブルに着くと、今日の朝食が何なのかを見る前に、くすくすといたずらっぽく笑う声が聞こえてきた。
驚いて、まだしっかりと開いていない目を無理やり開けると、高いポニーテール姿のさくらだった。
「ママ!?どうしてさくらがここに居るの!?」
少し恥ずかしくて、パジャマ姿のまま固まって座っていると、目の前に座った彼女がピョンピョンと跳ねているのが見えた。
お母さんは台所から出てきて、目を見開いて私を見た。
「朝から大声を出して、どうしたの?さくらちゃんを怖がらせないの!黙って朝ごはん食べなさい!分かった?」
私は着替えようと席を立ったが、ママに連れ戻されてしまった。
「食べるのが先でしょ、食べ終わってからお着替えしなさい。」
饅頭をかじりながら、苦い顔で彼女を見つめた。食欲が無いので、自分の分をさくらの前に置いた。
「ありがとう、でもお腹いっぱいなの」と彼女は言った。
私は、彼女の前から饅頭を取り、再びゆっくりと外皮をかじった。
さくらはテーブルの下で花柄の靴下を履いた足をぐらつかせながら、私を見つめていた。
一瞬、彼女の顔にこの世のものとは思えない鮮やかな色が見えた気がした。
「今日はさくらも一緒に塾に行くんだよ。」着替え中の私にママが言った。
私はびっくりした。どうして私と一緒に塾に行くのか、理由が分からなかった。
「先生と話したら、外で待っているそうよ。授業が終わったらさくらを案内してあげてね、分かった?」
母は言い終わると、私に小銭を渡した。
私が抗議する間もなく、彼女はドアを開けた。
彼女について私もリュックを背負って家を出た。
並んで歩いている途中に何を話せばいいか分からなかった。
ただひたすら、黙々と歩いた。
夏になると、道の両脇の木々が生い茂り、歩道は陰影が続いた。
セミの鳴き声が雨の音のように響く。時折吹く風は塩辛く、海の匂いを木々に混ぜて運んでくる。
さくらは、次から次へと現れる花壇の中から見たことのない花を探したり、泥のついた花びらを1枚ずつ手に取ったりして、弾むように歩いた。
時折、私の方を向いて、その白や黄色の見せて微笑んでいた。
公園を抜け、角を曲がり、歩道橋を下りて、小さな公園に出た。
さくらが白い鳩を見たいと言うので、大きな広場を歩いた。
鳩は太っていて、クンクン鳴きながら歩き、何人もの子供たちが5ドル入りの砕いたトウモロコシを撒きながら追いかけてきた。
「それは何?」と白い鳩をじっと見つめながら私に尋ねてきた。
「白鳩だよ」と答えた。
彼女は驚いて振り返り、「君の名前と同じだ!」と言いながらくすくすと笑った。
「まぁ、私の名前だね」
なぜだか分からないけど、少し嬉しくなった。
昔は気にしたことも無かったので、この近くに住んでいる家族が飼っている鳩だと思っていた。
昼間はこの広場にパタパタとやって来て、夜はパタパタと帰っていく。
その羽の一枚一枚が陽の光に照らされてとても美しい。
私は、さくらが鳩の後ろを静かについて行くのを見ながら、時々しゃがみこんでこの子の目やあの子の前足を見たりした。
時計が9時を知らせ、鳩が驚いてさまざまな色の高い家の軒先に飛んで行った時、授業に遅れていることに気がついた。
(続く)