この記事を書いたのは?
楓橋徹
出身地:中国私は中国の海浜都市から来て、現在東京の高校に通っています。この世界は広いので、何方でも行ってみたいです。ソローが書くワルデン湖、シェイクスピアの詩のロンドン、そして松尾芭蕉の徘句のような美しい夏に日本に来ました。暇な時、空想することが好きで、時々、自分が平和な時代に生まれて嬉しくなります。その反面、これから起こりうる戦争が心配です。また、昔の戦争のせいで、その国に住む人同士の中に誤解が生まれてしまうことがあります。しかし、私は子供の時に、違う国の人と触れ合うことがありました。生まれた国は違っても、その人の優しさに感動しました。
現在多くの日本人の友達がいます。中国人として、日中の友好交流が一歩近づいて心から願っています。今回は小説の中で、歴史の残した問題を違う視点から認識することができるといいなと思っています。私たちは生まれた国に関係なく、お互いに歩み寄っていきたいです
M
出身地:非公開紹介文:私は作者のお友達です。今回初めて校閲をさせて頂きました。難しかったのですが、素敵な物語だったので書いている最中はすごく面白かったです。
僕とあなたの、思い出の花。
30歳を過ぎているのに、驚くほど若く見えて優しいオーナーは、私たちを見て優しく微笑んでくれた。
「鳩くん、この子は新しいお友達?」
私は顔を赤らめながら、
「最近、日本から来たご近所さんです」
と説明した。
さくらは猫を置いて立ち上がり、
「私はさくらです。日本人です、よろしくお願いします。」
と言ってそっと頭を下げた。
オーナーはしゃがんでさくらの頭を撫でた。
「さくらちゃんよろしくね、これからもお店に遊びに来てね。」
さくらはどうしていいのか分からなかったのだろう、ただ頷くだけだった。
オーナーの上司の女性は私の赤くなった顔を見て大笑いした。
「なぜか分からないけど、あの子凄く可愛いわね。」
私は言葉に詰まりながら、イエスと言ったりノーと言ったり、とても焦ってしまった。
仕方なく、さくらを引っ張ってお店を出ることにした。
「さくら行くぞ!」
彼女の返事を聞く前に、彼女を引っ張ってお店を出た。
風に乗りながら路地裏を駆け抜けていると、ようやく目の前に青い閃光が徐々に広がってきた。
「海だ!海辺についたぞ!」
と叫んだ。こんなに嬉しくて、自由に走って、ジャンプして、海辺を歩いたのはいつぶりだろうか。
風を受けながら話してるから、彼女に声が届いているのだろうか。彼女はただただ嬉しそうに微笑んでいた。
ようやく長い坂でゆっくりと停止することが出来た。
眼下の斜面の半分は白壁と赤い屋根の一戸建て、もう半分は海だった。
「ゆっくり行こうよ。」
と言われたので、2人でゆっくり歩き始めた。
ガチョウの卵の黄身のように、大きくて暖かいオレンジ色の夕焼けが頭上の半分を染めて、さまざまな美しい色を現れ始めている。
柿の赤、ペチュニアの黄色、白うさぎの桃色の瞳、ラベンダーの紫、鈴蘭のグレー、花嫁の頭につけるビーズのベールのように、あるいは不思議な形の豪華な傘のように、空に絡みついている。
また、夕日に染まっていない雲は風によって合体し、次から次へと色んな形ができた。
そこで、歩きながら私はさくらに指をさしながら言った。
「あの雲、さっきの猫に見える?」
「うん、見える!見えるよ!あの猫だ!」
「でしょ!!あれは何に見える?」
「あれはね、飛行機!飛行機が飛んでるように見える!」
こんなに笑って、楽しく話したのは久しぶりだった。
さくらが私の世界に彩りを与えくれた。
少しそんな気がしてきた。
少なくとも、彼女が居なければ、今日のこの時間は意味がなかった。
いつも通りの、普通の、つまらない午後だっただろう。
夕陽の半分が海面に沈み、空が暗くなってきた頃、ガジュマルの木の下を歩いた。
ずっとずっと昔、ママと一緒にここに来たことがある。
その時にあった巨大な枝は登れそうなほど頑丈だったが、登ろうとしたらママに、説教された。あの時の恥ずかしさを思い出して少し笑ってしまった。
さくらに声をかけて、歩こうと思った矢先、さくらの姿が見えなくなっているのに気づいた。
私は一瞬パニックになった。
(続く)