核兵器は私たちの体にどのような影響を及ぼすの?
原子爆弾は一瞬にしてたくさんのものを奪い去ってしまいました。
今回は、身体へどのような影響があったかについて学んでいきたいと思います。
核兵器は身体にどのような影響を及ぼすの?
熱線による被害
原爆が投下された時の地表面の温度は、3000から4000度に達しました。
強烈な熱線によって焼かれた人々は重度の火傷を負いました。
爆心地から3.5km離れたところでも、素肌の部分は火傷を負いました。
火傷について
火傷は深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と分類されています。
今回は、Ⅲ度のやけど(最も重度な火傷)についてご紹介します。
Ⅲ度のやけどは表皮や真皮だけでなく、脂肪や筋肉といった皮膚の深いところにまで火傷している状態のことを言います。
また、神経や血管にもやけどの影響が出ている状態です。
手術をしたり、専門的な治療が必要になります。
傷あとが残ることが多く、1か月以上の治療期間を要することも少なくありません。
また、原爆が爆発した点は、超高温になっただけでなく、数十万気圧という超高圧状態となりました。
当時の証言からは、左目が飛び出てどうすることもできず、それを手で受け止めていた少年、ひどい火傷によって治療を受けるも肉が腐って剥がれ落ち、なかなか治らないことなど、当時の悲惨さを知ることができます。
爆風による被害
原爆が爆発する瞬間、とても強い爆風が人々を襲いました。
爆心地から100mの地点では、秒速約280mに達したと考えられています。
台風を例に挙げてみましょう。
トラックが横転してしまう時は、平均風速が35から40mだと言われています。
トラックが倒れてしまう風速よりずっと強いものが吹きつけたのです。
爆心地から半径2kmまでの地域では、ほとんどの建物が壊れてしまいました。建物自体が壊れていなくても、窓ガラスは全部吹き飛ばされ、中の家具は焼失してしまいました。
建物だけでなく、そこに暮らしていた人々へ大きな被害を与えました。
建物の下敷きになった人、吹き飛ばされ即死してしまった人、負傷した人、圧死してしまった人などです。
放射線による被害
私たちは、日々の生活の中で、宇宙などから放射線を浴びて生きています。
しかし、原爆からは大量の放射線が放出されます。
その大量の放射線によって、人体に深刻な障害が起こってしまいます。
放射線は、人体の奥深くまで入り込みます。
これにより、細胞を壊し、血液を変質させてしまいます。
そして、骨髄などの増血機能を壊し、肝臓や肺などの臓器を侵します。
核兵器は、人体に深刻な障害を引き起こすのです。
放射線による障害は、爆発した地点からの距離、どのような建物にいたかによって大きく異なります。
初期放射線(爆発してから1分以内に放射された放射線のこと)により、爆発した地点から1km以内にいた人は、致命的な影響を受けました。
致命的な被害を受けた人々の多くは、数日の間に亡くなりました。
皮膚などへ怪我がなく無傷だと思われた人であっても、内臓が傷つけられ被曝後、死亡した例も多数ありました。
さらに、原爆が爆発すると、地上に残量放射線を地上に残します。
地上に残った放射線から、救護活動のために派遣された人々も直接被爆した人と同じように身体が傷つけられたり、死亡することがありました。
急性障害
被爆した直後の熱線や爆風、放射線による症状のことを急性障害といいます。
その症状は以下のようなものです。
- 吐き気・食欲不振
- 下痢
- 頭痛
- 不眠
- 脱毛
- 倦怠感
- 吐血
- 血尿
- 血便
- 皮膚の出血斑点
- 発熱
- 口内炎
- 白血球・赤血球の減少
- 月経異常
この限りではなく、多くの症状が見られました。
食糧事情や放射線の影響によって、外傷が悪化することもありました。
病原菌への抵抗力が弱って発症したもの、外傷がなくても脱毛や出血症状が現れたものなども含まれます。
これらの症状により、多くの人が亡くなりました。
放射線の影響は、これで終わるものだけではありません。
最後に
原子爆弾は街を破壊するだけでなく、人々の身体に甚大なダメージを及ぼすことがわかりましたね。
そしてこれらの影響は、身体へ一度きりの被害ではなく、長期的な被害を与えます。
ニュースなどで核兵器の使用を唆すようなことが報道されていたら、耳を傾けてくださいね。
ほかにもどのような被害があったか、調べてみよう