今回は、ISSOKUの代表者である瀬戸が対馬で経験したことについて、もう一人の代表者である佐倉がインタビューしました。
対馬に行った理由は?
佐倉:どのようなきっかけで対馬に行ったのですか?
瀬戸:今回の研修において、「一つにプラネタリーヘルスマインドを育てる」というのが一つの目的でした。
僕が所属しているサークルでは、PHRC(プラネタリーヘルスレポートカード)という、大学がどれだけプラネタリーヘルスに取り組んでいるかを評価する取り組みを行っています。
この活動をより深めるために、今回の研修に参加しました。
佐倉:なるほど、そのような経緯があって対馬に行かれたのですね。プラネタリーヘルスとはどのようなものですか?
瀬戸:プラネタリーヘルスとは、地球全体の健康に関する概念で、人間の健康を含め、環境、社会、経済、政治、文化、技術など、人間と自然の複雑な相互作用によって影響を受けるすべての要素を包括する概念です。
例えば、この視点から人の健康について考えてみると「単に個人の生活習慣や遺伝的な要因によって決まるものではなく、地球規模での環境変化や社会的・経済的・政治的な変化にも影響を受ける」となります。
このように、「人間と自然が密接に関わり合っていること」を意味しており、環境や社会の問題に対処することが、人間の健康を維持する上で重要であるとされているものです。
佐倉:なるほど。SDGsに似た概念なのですね。
瀬戸:そうですね。
SDGsと似ている部分もありますが、プラネタリーヘルスはより包括的、つまりは、人や動物の健康だけを考えるだけでなく、地球の健康も考えようという概念です。
ですので、プラネタリーヘルスはSDGsの一歩先の概念とも言えます。
対馬ってどんなところ?
佐倉:対馬はどのような場所でしたか?
瀬戸:自然に囲まれて静かなでところで、なんだかのんびりとした時間が流れているように感じました。
特に北対馬の方は、海と山がどこに行ってもすぐそばにあって、海には漁船がたくさん並んでいて、山では椎茸の原木や蜂洞をあちらこちらで見かけましたね。また、自然が豊かなのと、人と人の心理的な距離感がとても近いことも印象的でした。
一言で言えば、都会では味わえない、温かみのある人々との出会いや、ゆったりとしたライフスタイルを楽しむことができる魅力的な場所です。
佐倉:とても素敵な場所ですね。対馬に行ってみて、いろんな方とお話しされたようですが、どのような発見がありましたか?
その中で、対馬の中でどのような取り組みに力を入れているかなどを教えていただけると嬉しいです。
瀬戸:大きく分けて2つあるかと思います。
1つは、対馬にはたくさんの豊富な資源があるのにそれを活かせていないということを島の方がおっしゃっていました。
そうした資源に新たな価値を見出し、島内、そして島外に向けて販売、発信することに力を入れているように感じました。
佐倉:もうひとつは?
瀬戸:もうひとつは外から内に向けた取り組みですね。実際に島内で様々な団体の方からお話を伺わせていただいたのですが、島外から移住されて来ている方が何名かいらっしゃいました。
また、インターン生や研修生、企業なども積極的に受け入れていました。
このように、島外から対馬に来た人が、対馬の魅力を見出し、島外へ発信する。
そして、その取り組みをみて対馬に魅力を感じた人が対馬にやってくるという、島内外の好循環が生まれつつあるように感じました。
佐倉:対馬は資源が豊富で、そこで暮らしている人たちも地域の魅力を多くの人に知ってもらえるように、積極的に活動されているということなのですね!
瀬戸:みなさん活き活きとされていて、本当に対馬のことが好きなんだなというのが伝わってきました。
佐倉:とても素敵な場所です…!
対馬の課題は?
佐倉:対馬で課題となっていることは何ですか?
瀬戸:島の方がたのお話を聞いていると課題は山積しているのかなと感じました。
例えば、高齢化や人口流出によって山や田畑を管理する人がどんどんと減ってきてしまって、山がかなり荒れているようでした。
また、最近では猪や鹿が増えすぎてしまって、田畑や山が荒らされるという事態も起きていました。
瀬戸:浜辺で撮った写真を共有します。この写真を見てください。
佐倉:わあ!これは全て流れ着いたプラスチックゴミなのですか?
瀬戸:全てかはわかりませんが、おそらくほとんどがそうだと思います。
佐倉:すごい量ですね。誰か一人の海岸清掃でなんとかできる量ではありませんね…
瀬戸:とてもじゃないですけど、一般の人がふらっと行ってゴミ拾いできる量ではなかったです。
日本は世界でもプラスチックゴミの排出量が多く、問題になっていますよね。
佐倉:日本では年間約940万トンのプラスチックごみが排出されていると消費者庁も言っていますものね。
瀬戸:そうですね。
普段何気なく使っているプラスチックですが、こうしてみるとものすごい量ですよね。
なんとかできん?プラスチック問題!
佐倉:少子高齢化だったり人口減少が進む日本で、持続可能な社会を目指すためには一人一人が真剣に考えていく必要がありそうです。
どういう方法を用いれば解決に向かうと思いますか?
瀬戸:やはり世界全体で取り組む必要があると思います。
漂着ごみをよく見ると韓国製や中国製の商品や、明らかに日本のものではない漁具などが流れ着いていました。
もちろん日本国内でプラごみの量を減らすことは大切ですが、世界全体で取り組まなければ一向にこの問題は解決しないのではないかと思います。
佐倉:確かに、「世界中を持続可能にする」ためには、世界中の力が必要となりますよね。
国に関わらず、誰もがゴミを廃棄することに目を向け、地球を汚さない取り組みを行えたらいいと思うのです。
瀬戸:佐倉さんは地球を汚さないためには僕たちはどのような取り組みをしていけば良いと思いますか?
佐倉:そうですね…いらなくなったものを「捨てる」以外の選択ができるといいなと感じています。
リユースのように直接的に活用するだけでなく、が捨てるのと同じようにリサイクルするという選択を簡単にできると「捨てなくてもいいや〜!」って思えそうじゃないですか?
瀬戸:確かに日常においては捨てるという行為の方が圧倒的に多いですよね。
リサイクルは良いことだとわかっていても、捨てることと比べるとハードルが高いように感じます。
佐倉:選択肢が増えるということは、自分の価値観に近い自己決定ができる機会が増えるということですから、これがプラスチックのゴミ問題解決にも繋がるのではないかなとやんわりと感じます。
瀬戸:僕たちはまだまだ知らないことばかりですから、実際に海岸清掃などに参加していろんな課題を直視していかなければなりませんね。